「十字架は人生の栄光」
A.「ポスト・イット」の開発
 接着剤の研究をしていたスリーエム社の研究チームが、ある試作品を作りました。それは接着度が低く、メンバーは失敗作だと考えます。ところが、それをチャンスと捉えた人がいました。自由に貼ったりはがしたりできる「付箋紙(ふせんし)」として使うのです。今ではこの製品は、「ポスト・イット」という名前で大ヒット商品となり、いろいろなタイプのものが製造販売されています。あの時、もしメンバー全員が、「その試作品は失敗である」との結論を出していたら、「ポスト・イット」という製品はなかったのです。
 人生でも、失敗だと思われた出来事が、好機に転じることがあります。神さまはイエス様を復活させることで、十字架を神の栄光に変えられました。

B.聖書から
1節 イエスはこれらのことを話してから、天を仰いで言われた。「父よ、時が来ました。あなたの子があなたの栄光を現すようになるために、子に栄光を与えてください。  ヨハネによる福音書17章1節
 「天を仰ぐ」というのは、敬虔のしるしです。「時が来た」とは、主イエスが十字架にかかる時が来たという意味です。「子に栄光を与えてください」とは、自分を十字架の死後、復活させてくださいという求めです。十字架上のイエス様の死は、この世の人の目には敗北に見えますが、その十字架にこそ神さまのお恵みが最も高く現れ、全人類の救いの源となりました。イエス様は、十字架の死を以って神さまの救いの業を完成し、神さまの素晴らしさを表わさせてください、と言っておられるのです。
 また、イエス様は神さまを「父よ」と言われ、わたしたちにも神さまをそう呼ぶように教えられました。神さまと親密に関われる人は祝されるのです。

C. 妾(めかけ)の子に生まれて―賀川豊彦
 賀川豊彦は明治21年、徳島県鳴門市の回漕業者・賀川純一と芸者であった妾(めかけ)の間に生まれました。しかし、4歳半の時、父も母も亡くなり、子どもがいなかった父の本妻に引き取られて育てられます。豊彦は、自分には賀川家の汚れた血が流れていると思い、恐怖の念に襲われていました。しかし14歳の時、英語を習うために宣教師のバイブルクラスに通い聖書に触れると、豊彦は、天の父を発見でき、最高の喜びを味わうようになります。イエス様の十字架の救いによって、神さまの子どもとして正しい道に生かされる確信が与えられたのです。
 マヤス宣教師から洗礼を受けた豊彦は、医師になりたいとマヤス宣教師に告白しますが、「医者になる人は他にもいる、あなたは魂を救う牧師になりなさい」と助言されます。神学校で学んだ後、牧師の見習いとして愛知県の教会に応援伝道に出かけました。そこで連日連夜、路傍伝道をしていたとき、結核にかかり喀血し、医師からは死を宣告されます。死を覚悟した豊彦は、「自分はあの貧しい人たちがいる神戸のスラムに移り住んで働きたい」と神さまに祈りました。するとその翌日、結核がすっかり治ってしまい、医者たちを驚かせます。その翌々年の1909年12月24日、神戸のスラムへ入居し、路傍伝道を始めました。
 そこでは、次第に貧困の問題も解決しなければならないことを思い知らされます。貰い子殺しの習慣を目の当たりにし、ショックを受けたのです。子どもたちをしっかり育てるために、地域を改善しなければならないと、豊彦は様々な社会事業に入っていきました。年とともにその事業は拡大し、幼児教育(幼稚園・保育園の設立)、救済事業(病院の設立、職業紹介)、労働組合、社会運動(普通選挙運動、禁酒・廃娼運動)、農民運動(農民福音学校、JA)、災害救援活動、生活共同組合コープ(生協)、健康保険運動(国民健康保険)、平和運動(世界連邦建設同盟)などを推進して行きました。何よりも大切にしたのが伝道活動で、5つの教会を設立し、昭和の初期、神の国運動という伝道集会を全国で開き、合計79万人が集い、約1割がキリストを受け入れました。更に、米国、ヨーロッパ、オーストラリア、中国、ブラジルなどへ海外伝道に出かけ、これらの活動を論文や小説にして出版するという著作活動をします。自らをモデルにした作品『死線を越えて』は、大正時代に日本の文学界で始めての100万冊を突破、更に13カ国で超ベストセラーになります。その印税は数億から10億円とも言われ、豊彦はすべて教会設立や保育園、救済事業などに献げました。世界では、20世紀における最大の偉人として、アフリカのシュヴァイツァー博士、インドのガンジー首相、日本のドクター・カガワの三人があげられるようになり、賀川豊彦は牧師として、社会事業家として、明治、大正、昭和にかけて日本民族に最も大きな影響を与えた人物のベストスリーに入るといいます。
 豊彦にとっては、妾の子という生い立ち、病弱だったという十字架を神さまは用いられ、世界中の人々を助け、希望を与える生涯としてくださいました。

D.結び
 神さまは十字架の刑というこの世の恐ろしい業を、全人類の救いが成就する贖いの場に変えられ、イエス様を十字架の死から復活させられ、救いの業を完成されました。ここに神さまのご栄光、即ち、神さまの素晴らしさと美しさが表われています。祈りの中で神さまに何でも語ると、神さまはその信頼に応え、神さまの素晴らしさ、栄光を現わしてくださいます。
                                      御翼2008年8月号その1より

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