「勇気と思慮ある母の信仰」

A. 母性愛とは

 「都電さ〜ん、都電さ〜ん、ガタゴトガタゴト都電さ〜ん、いっぱいいっぱい走るよ〜」と、二人の姉妹が楽しそうに口ずさんでいます。優しく軽快なメロディーは、お母さんが作った歌だそうで、その様子はお母さんへの親しみに溢れていました。母親から十分に可愛がられた子どもは、心が安定し、ゆったりとしていて、他人にも寛大で平和的です。一方、母性愛が不足すると、子どもは嫉みや恨みを持ちやすくなり、攻撃的になる傾向があるといいます。
 旧約聖書の出エジプト記には、勇気と思慮ある信仰により危機を切り抜け、赤ちゃんの命を守り、養い、育てたモーセの母親ヨケベドの記事があります。

B. 聖書より

 「信仰によって、モーセは生まれてから三か月間、両親によって隠されました。その子の美しさを見、王の命令を恐れなかったからです」ヘブライ11:23
 ヨケベドは、思慮深い信仰を持っていました。異国の地、エジプトに住んでいたヨケベドとその夫は、ヘブライ人の男の子を殺すようにという王の命令に背き、3ヶ月モーセを隠したのです。その後、男の子をナイル川の葦が生えている河岸にかごに入れて置きました。そこは、王宮の女性たちが集まり、水浴びをするところだったのです。モーセが王女に発見されると、様子をこっそり監視していたモーセの姉ミリアムは、乳母となる女性を連れてきましょう、と申し出ます(出エジプト2:7)。それは実の母、ヨケベドのことでした。これで、モーセは母親と再び結ばれ、大切な乳児期を母と過ごせました。アブラハム、イサク、ヤコブの神について、教えることができたのです。
 母はできる限りのことをしました。後は神さまにお任せするしかないのです。神さまは、御手をずっと働かせてくださり、その勇気と思慮ある信仰を祝され、神さまの目的に適うことを成就してくださいます。

C.たくましかったお母さん

 小5の渚ちゃんが、交通事故で骨盤を骨折し、三ヶ月の重傷を負いました。小学校の前の横断歩道付近で、道路工事が行われていましたが、車の信号は赤なのに、誘導員が旗で車に進んでよいと合図したといいます。歩行者用の信号は青だったので、ピアノの稽古に急いでいた渚ちゃんは、走って渡りました。すると突然小型乗用車に跳ねられたのです。運転手は家出をしていた青年で、車検も期限を過ぎていたため警察に捕まりました。留置所から渚ちゃんとご両親に、謝罪の手紙を書いてきたので、渚ちゃんの母親は、相手を責めず、以下のようなお返事を出しました。

  K様
 昨日、Kさんのお手紙をお母さまから受け取りました。丁寧な謝罪のお手紙を有り難うございました。お身体、大丈夫ですか?
 渚は無事に明日24日に退院します。しばらくは松葉杖の生活ですが、きっとそのうち歩けるようになると思います。ご安心ください。入院中は、お母さまとおじいさま、お兄様に何度も来ていただき、感謝いたしております。
 交通事故は、いろいろな偶然が重なって起こるもので、気をつけているつもりでも、ちょっとした不注意で、いつ自分が被害者になるか、加害者になるか分かりません。これを人生の転機として、今後は明るい光の中を歩んでいただくことを心から願っております。しばらくは、おつらいことも多いと思いますが、渚も足にワイヤーを通し吊るされたつらい三週間を耐えましたので、ぜひ頑張ってください。
 この本は、・・・どのように生きていったら幸福になれるかを聖書に基き書かれたものです。私も以前いろいろと悩んでいたときに読み、元気になれました。少しでもKさんの人生が豊かになるように、お役に立てればと思いお贈りしたいと思いました。渚も私ども家族も、Kさんの今後のことをお祈りしています。

 渚ちゃんの母親は、「我らが罪を犯すものを赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ」という主の祈りを実行しました。そして、娘が痛さと治療で苦しんだことを無駄にしないためには、神さまにすべてを良い事に変えていただきたいと、加害者の救いを祈って手紙とキリスト教の本を贈ったのです。
 母親には、相手を責めず、赦す勇気がありました。無駄な交渉はせず、お子さんたちへの影響、相手の救いを願う思慮深さがありました。そんな、勇気と思慮ある母の信仰は神に報われ、渚ちゃんは順調に回復し、心配された後遺症も今のところなく、元気に学校へ通っています。渚ちゃんは、「お母さんはたくましかった」と言っています。

D.結び

 勇気と思慮ある信仰を、神さまは報われます。母としての目的は、その子どもたちを神さまの愛で満たすことなのです。
御翼2009年5月号その4より


  
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