「使命感と神さまからの啓示」

A. あきらめなかった母親

  「お母さん、かわいそうですが、これ以上治療しても助かりません」とお医者さんは言いました。戦地から一時帰国した父親も、親戚や周囲の人も「日本は今、戦争中なんだよ・・・かわいそうだけどあきらめなさい」と言います。母は一日でも生きてほしいと、生まれて間もない、やせ細ったわが子を背負い、ブドウ糖注射を打ってもらうために体が半分埋まる豪雪の中を歩いて医者に通い続けました。途中には大きな川があり、橋を渡るには遠回りになるので、自分の手足が凍傷にかかっても、氷のように冷たい川を歩いて渡り、医者通いをやめません。おかげでその子は命を取り留めました。その子とは、クリスチャン弁護士の佐々木満男先生です。先生は60歳を過ぎた今でも、お元気で弁護士として働きながら福音伝道を続けていらっしゃいます。母親があきらめていたら、先生はこの世には存在していませんでした。
 子どもの命を救いたい、という母の願いがモーセを敵から救い、王宮で育つように導かれました。

B.聖書より

そして、モーセはエジプト人のあらゆる教育を受け、すばらしい話や行いをする者になりました。                                  使徒言行録7章22節
 新しいエジプトの王は、ユダヤ人の男の子が生まれたら殺すようにと命令しました。母親はモーセが生き延びるように、王の命令にそむいて籠に入れ、ナイル川の葦の茂みに隠しました。それを、エジプトの王女が拾い上げ、王宮で自分の子として育てます。そしてモーセは、当時最高の教育をエジプトで受けました。これは、モーセが奴隷だった同胞のイスラエルの民をエジプトから導き出すという使命を果たすために、神さまが準備されたものでした。これはやがて来られる救い主イエス様の元の型になっているのです。

C. 母に捨てられて―ビル・ウィルソン牧師

 「ここで待っていなさい」と母に言われ、ビル牧師は13歳のとき、フロリダの街外れで配水管の上に座らされましたが、3日待っても母は戻ってきませんでした。絶望していた少年を見かねた地元に住むクリスチャンの整備士が、ビルを教会の青年キャンプに連れていきました。そこで彼は、イエス様が人のために十字架で死んで復活されたという話を聞いたのです。神さまの愛に触れた彼は、素直に自分の罪を告白し、イエス・キリストを救い主として受け入れました。「イエス様、どうか私の罪をお赦し下さい。私は自分の人生を、あなたにおささげします」と祈ると、その瞬間から、未来は今までと同じではないということが分りました。牧師夫妻に愛されて教会で暮らすようになった彼は、やがて神学校に行き、牧師になったのです。
 教会の近くで、4歳の少女がクーラーボックスの中から遺体で発見されたという事件をきっかけに、ビル牧師は、スラム街の子どもたちに福音を伝える決意をしました。自らスクールバスを運転し、街を放浪する子どもたちを見つけてはバスに乗せ、教会に連れて行くのです。その数は、1000人、2000人と増え、今では毎週2万2千人の子どもたちに、聖書と神さまの愛を教えています。スタッフ達は、子どもたちがキリストに愛されていることを体験させ、本来あるべき人となるよう、教育しているのです。
 ビル牧師は「私がバスを運転しながら乗せているのは誰であるかお分かりでしょう。それはわたし自身だ。あのクリスチャン男性が自分にしてくれたように、自分も子どもたちを救いたい、ただそれだけの思いでバスを運転している。・・・とにかく、助けを必要としている人を見たら手を差し伸べよう。問題を持っている人を見て、その人の必要を満たせると思うのならば、それがあなたの使命なのだ」と言います。
 ビル牧師が始めたスラム街の子どもたちへの伝道活動は、世界500以上の都市に広がっています。ビル牧師も、モーセのように母に捨てられた人物です。その境遇を用いて、神さまは少年ビルを、子どもたちを救うという使命を果たす者へと訓練し、成長させたのでした。

D.結び

 神さまは敵の策略を用いて、モーセに最高の教育を施し、将来の使命に備えさせました。神さまに遣わされる使命を受けたならば、自分だけの力に頼らず、神さまにお委ねしていきましょう。そうするならば、苦難を通して、人々からの信頼を得るようになるのです。
御翼2009年9月号その3より


  
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