2017年御翼2月号その4

                              

「聖書の読み方」と「聖書が好きになる方法」―― 佐藤陽二/藤尾英二郎

 聖書は、へりくだった思いになった時に、聖書の語っている真理がその人の魂に示され、今まで分からなかったことが、聖霊によって示される。
 聖書の読み方 佐藤陽二『キリスト教入門』pp107-109から抜粋
聖書が世界のベストセラーになっている理由は、聖書は、生活に必要な、知恵と力、生きる希望と能力とを与えてくれるからである。聖書は、人間の心の鏡でもある。
 役に立つ本 したがって聖書は、男性にも女性にも、大人にも子供にも、老人にも青年にも、また、順境の時も逆境の時も、いついかなるときでも、一生涯役に立つ書物なのである。聖書は、現世において、有益であるだけでなく、聖書によって生活していると、いつのまにか来世にたいしても、すっかり準備されるのである。こうして聖書は、世界のすべての人々に、真の幸福を与えてくれている。
 心を開く 聖書は、原則的にいえば、どこから読んでもかまわない。しかし、聖書を読むときには、まず第一に「しもべは聞きます。お話しください」(サムエル記上3・10)とサムエルが言ったような態度をとるようにすることが大切である。そして、謙遜に心を開いて聖書を読み、自分で大事に思うような箇所に傍線を引くようにする。そうすると、その謙遜な心に聖霊が働いて、そのときに読者が一番必要な聖書の言葉を、神は与え、その人を導かれる。
 
聖書が好きになる方法  
 第一に、一時にたくさん読まないこと。本当に興味が湧いて時間のたつのも忘れて読めるようになったり、休みの日には一日中聖書を読んでいても飽きないくらいになるまでは、たくさん読まないことである。それよりも毎日続けて読むことが大切である。
 第二に、主を知るために聖書を読ませてください、主をあがめるために聖書を好きにならせてください、と祈ることである。
 第三に、聖書以外の書物や雑誌、新聞などはできるだけセーブすること。それよりも勝って聖書を読むようになるまでは、これくらいの代価を払うのは何でもないことなのだ。(まず聖書を読んでから雑誌や新聞を読むと、信仰の目を通して世の中のことがよくわかるようになる。)
 第四に、集会に参加すること。主は人のことばを通してご自身を証しされるので、主をさらに深く知るための助けとなる。集会で教えられたことがヒントとなって、一人で聖書を読む時にも、さらに深く主を教えられるようになる。
 第五に、聖書に関する書物を読むこと。聖書に関する雑誌、注解書、聖徒の伝記などを読むことである。
 第六に、聖書を読んで主に教えられたことや受けた恵みを黙っていないで、分かち合うことである。ある姉妹が「どうして私には喜びがないのでしょうか」と言うので、「あなたは自分が救われたことを主に感謝し、人にも言い表わしていますか」と尋ねた。するとその姉妹は、「いいえ」と言った。これは意味深い話である。(藤尾英二郎『主キリスト第一〈英二郎青春日記〉(同信社)より』
 
 1867年、将軍慶喜(よしのぶ)が大政奉還(朝廷に政権を返上)するも、新政府側は徳川幕府を倒すため西郷隆盛を新政府軍司令官として、薩摩・長州などの兵を引き連れて江戸に向かった。新政府は、なんとしても徳川を撲滅し、その勢力が新政府に入らないようにしたかった。それにもかかわらず、江戸城無血開城が実現したのは、どちらも聖書を読んでいた西郷隆盛と勝海舟が、江戸総攻撃直前に話し合いで戦争を回避したのだった。鹿児島市立西郷南州(なんしゅう)顕彰館(けんしょうかん)には、西郷ゆかりの品々が展示されているが、その中に、漢訳聖書(旧約)がある。西洋人と交際するには彼らの精神・心を理解することから始めなければならない、というのが西郷の聖書研究の始まりであった。館長の高柳 毅氏は、「『(西郷が)側近に漢訳聖書を貸し与えた』との記述があることから、西郷が聖書を入手し読んでいたのは確実と述べている。『西郷は自分達の先祖に聖書を教えておられた』という言い伝えが残っており、間違いなく西郷さんは、晩年においてキリスト教を信じておられた」と語る。 
元旦に放送されたNHKプレミアムで、江戸城無血開城の仲介者となった英国外交官、アーネスト・サトウ(Satowはスラヴ系の名)がいたことを紹介していた。サトウ氏は、幕府側にも倒幕派にも通じており、当時の幕府には国を治める力はなく、天皇にも決めごとを執行する力はないと、日本の状況を把握していた。そして、日本と貿易をしたい英国にとって新政府の樹立は必要だと、ジャパン・タイムズに匿名で投書した。それが和訳され、明治維新の後押しをすることとなる。そして、日本人同士が殺し合わないように、大政奉還後なおも、新政府が幕府に攻め込むのは国際的に許されないと世論をあおり、江戸城無血開城へと導いたとも言われている。そこまでサトウ氏を動かしたのは、将来の日本をきちんと考えていた西郷や勝に魅せられたからではないか、と番組では言っていた。改革を成し遂げるエネルギーは、聖書を読むことから与えられる。


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