2018年御翼11月号その3

                           

人間形成を重視した新渡戸稲造―― 信仰という「第四の道」

   『武士道』を書いて日本人の道徳を世界に紹介した新渡戸稲造は、クリスチャンの教育家で、ミッション系の東京女子大学を初め、数々のミッション系大学の創立に関わった。
 教育家としての新渡戸は人格形成を重視していた。「人はどこか動じないところ、譲れぬところ、断固侵すべからざる信念がなければなりません。それを生み出すものこそ、神との垂直的縦関係であり、その関係性、対話性、交わり性の中に人格は形成されると言えましょう」と新渡戸は述べている。
 倫理学で人格とは、道徳的価値を担っている人間を指す。家庭の、そして社会の「良心」であるべき心優しい人たちが、人格を育てられないために、正しいことを主張できず、ただ人から利用される人間となっていることが日本では実に多い。新渡戸は、人が神と交わる時、つまりキリストを通して神を礼拝する時に、正しく人格が形成されると主張した。神と深く交わり、自分は神を知り、神に自分を知られ、神に自分の魂も身も捧げ尽くして生きる時、世の評価を度外視して、ひたすら示された確信に生きることができると新渡戸は教えた。「人を相手とせず、天を相手とする」覚悟を持つことで人は本来の自分が形成される。
 日本では、肩書きや業績のある人には人格者という表現を用いるが、明治の頃は一夫一婦制も徹底しておらず、女性は「子を産む道具」のように考えられていたのだった。本来の人格とは、知識があるとか、業績があるとかは関係なしに、そこにいるだけで、神の真理、神の愛を放つことのできる人たちである。イエスを救い主として受け入れる時に、私たちの人格は形成され、人を助け、家庭や社会を良くしていけるのだ。

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