2018年御翼11月号その4

                           

物造りの日本から、魂の救いの日本へ

 コンサルタントの佐藤芳直氏は、著書『日本はこうして世界から信頼される国となった』に以下のように記している。
 フランシスコ・ザビエルが日本に到着したのは1549年だった。知性と理性を兼ね備え、イエズス会のキリスト教幹部として日本をキリスト教によって教化するという目的を明確に持った初のヨーロッパ人の来日である。ザビエルは、日本で積極的に布教活動を進めるが、その彼を包みこんだのは、他の異民族が有しない日本人の資質に対する驚きだったという。名誉を重んじて、不正を嫌い、清廉潔白である事を生きる流儀とする日本人。非キリスト教であり、有色人種でありながら、正義の規範を持ち、秩序立った社会を持つ日本に、ザビエルはいわば畏敬の念すら抱いたようだ。

 ザビエル来日の遥か前の古墳時代(3世紀後半~7世紀)には、キリスト教の一派ネストリウス派が日本に入っている。その教えは迫害の中、仏教や神道という「仮面」をかぶせられた。実際には、日本はどの西洋諸国よりも早くキリスト教国となっていた。
そんな日本も、世界で戦争をして来たが、西洋諸国のやり方とは異なっていた。西洋の先進国は、他国を支配するには、まず反政府勢力に資金、武器弾薬を提供して、内戦を起こさせる。それに乗じて、軍事的支配を強め、植民地としてしまう。これは21世紀になっても変わらない図式である。日本も幕末にそうされかけた。英国は徳川幕府打倒の中心勢力だった薩摩を支援し、フランスは、幕府を支援し、軍備の提供も申し出て、日本での内戦を激化させようとした。ところが、大政奉還によって無血開城が実現し、日本は欧米の植民地にならなかった。江戸の無血開城は、西郷隆盛と勝海舟が成し遂げたが、共に聖書を読んでいる人たちであった。
 日本は侵略戦争をした悪い国と思う前に、理解すべきことがあると、佐藤芳直氏は言う。15~20世紀の中盤まで、世界の国々は、植民地を持つ国と、植民地にされる国の二つしかなかった。20世紀初頭の東アジアで、独立国は日本とタイのみで、それ以外の国は、すべて白人国家の植民地にされていた。幕末の動乱を越え、世界と向き合う明治の時代に突入した日本は、植民地にされない道を選んだ。それは結果的に、植民地を持つ国になることだったのかもしれない。そして太平洋戦争で日本は、米国のマニフェスト・デスティニー(明白なる天命=キリスト教化と文明化のためには、現地人を虐殺してもよいという概念)に対抗した唯一の国となった。植民地政策を正当化してはならないが、この時代のことを、私たちがいつまでも謝罪しているべき問題ではない。未だに、内戦を起こして他国を取ろうとする欧米では、同性婚も合法化され、国家としてはキリストの真理を活用していない。
 (植民地政策は)他の国がやっていたことだから…とでも言わないと、先に進めないのが、キリスト抜きの生き方である。そうではなく、日本国の過ちも、悔い改めてイエス様の十字架によって赦していただくことで、先に進もう。正しい歴史を見出し、キリストの教えは自分たちのお家芸だったと言えるくらいに自覚しよう。神の導きを信じ、意思を明確に表示し、欲張らないでないでいると、願いを越えたものが与えられるようになる。今や、日本人の資質が高く評価されるようになってきている。物造りの日本から、魂の救いの日本へと進み出よう。

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