2018年御翼7月号その3

                           

「明るくなったね!」

  長崎県で牧師をしている松本俊也先生は、「教会に行けば病気(アトピー性皮膚炎)が治るよ」と親族で唯一のクリスチャンであった叔母から言われ、母親と毎週教会に通った。すると、8年間ほど苦しめられたアトピーが、受洗後、数日間で完治したという。教会へ行き、イエス様を信じるだけで私はいやされたのだ。すると、学校生活が楽しく、勉強もスポーツもできて、5年生になるとサッカー部に入部、中学でも部活を続けた。そのため、やがて「日曜日には試合がある」と言って、教会へ行かなくなる(母も行かなくなっていた)。ところが、中一の六月ごろから、突然、円形脱毛症になり、生活は一変する。友だちから馬鹿にされ、親友さえも離れていき、学校に行くのがいやになり、大好きなサッカーも辞めした。そして不登校となり、家に引きこもった。
 息子のために祈り始めた母が、ある日曜日の朝、突然、「教会に行こう」と言った。松本さんは、それまで誰とも話したくないし、会いたくないと思っていたが、その時は不思議と教会に行くことにした。教会では賛美が歌われ、牧師が話をしていました。そしてこう言われた。「わたしの目にはあなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(イザヤ書43章4節)と。この言葉を聞いたとき、松本さんは、自分が独りではない事に気付いたという。その日から、母と二人で毎週教会に行くようになる。すると、松本さんの中に、「学校に行きたい」という気持ちが沸いてきた。
 「脱毛症が治った訳ではありません、しかしそう思いました。でも1年以上行ってなかったので、若干の不安はありました。しかし、学校の自転車置場で1番最初に会った友達の第一声でその不安は吹き飛びました。『松ちゃん、明るくなったね!!』私にそう言って友達が駆け寄ってきたのです。暗闇のなかに居ると思っていた私に『明るくなったね』と言ってくれたのです。その日から、私は学校を休む事はありませんでした」と松本先生は言う。
 卒業のとき配られた卒業文集の中に「何でもランキング」という企画があった。それは何でもいいからランキングにしようという企画で、「かっこいい人」「もてる人」等いろいろなランキングがあった。その中で松本さんが一位になったものが三つあったという。一つは「将来お金もちになりそうな人一位」、もう一つが「将来社長になりそうな人一位」、そして最後の一つが「一緒にいて楽しい人一位」だった。「これを見たとき、私はとても嬉しかったです。その1年前、孤独の中に居た私が、最後の最後にクラスで1番『一緒にいて楽しい人』に選ばれたのです。それは私には想像もできない奇跡でした」松本俊也牧師
月刊「雲の間にある虹」(雲の間にある虹出版)2007年11月号より抜粋

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