2018年御翼9月号その1

                         

聖霊のバプテスマについて―― 内村鑑三

聖霊のバプテスマに就て
1923 (大正12)年11月10日 内村鑑三
 今年の夏、或る米国宣教師が私に問うて曰(い)うた「貴君(あなた)は聖霊のバプテスマを受けました乎(か)」と。私は之に答へて曰うた「私は知りません。私は基督信者に成りてから今年で四十六年になります。其内三十年間私は基督教の伝道に従事しました。そして其間に私は教会又は伝道会社より未(いま)だ曾(かつ)て何等の補助をも受けませんでした。私は自分の生活費と伝道費とを自分の労働に由て得ました。御承知の通り私は此非基督教国に於(おい)て此事を為(な)したのであります。貴君は私が或る形に於て聖霊のバプテスマを受けずして此事を為し得たと御考へなさいます乎」と。かの宣教師は私の此答を喜ばなかつた。聖霊のバプテスマに関する私の考は彼のそれとは異(ちが)つて居つた。私に取りては基督教は生くるか死ぬかの問題である。私は人に説くべき私独特の教義を有(も)たない。

 このように、聖霊は実際に働く力なのだ。聖霊に満たされるとは、どういうことなのか、以下はシューラー牧師の言葉である。

情熱を養いなさい Robert H. Schuller, Hours of Power August 1より
 聖霊で満たして頂くということは、神に内在していただくことである。神の霊である聖霊が、私たちの魂に住まれるのだ。そのとき、情熱が湧き出てくる。
 山をも動かすような情熱は、どのようにして与えられるのだろうか。英語で情熱はEnthusiasm(エンスージアズム)と書くが、これはもともとギリシャ語のen と Theos からなる。文字通り訳せば、in God (神において)である。そのような状態にある人は、霊感が与えられている人、神の霊で満たされた人と呼ばれる。人生を神の霊で満たしたいただいたとき、私たちには様々な力が与えられる。そのことをを古代イスラエルの預言者は、「万軍の主の熱心がこれを成し遂げる」(イザヤ書37・32b)と言った。
明るい前向きな信仰で人生を満たしなさい。そうすれば、以下の事柄を実現させていただける。
‐偉大な機会を見出す。
‐素晴らしい解決策を発見する。
‐不可能に思えた障害物を越える。
‐神が備えられた意外な贈りものを開ける。
‐日光が差し込むまで、雲を押しのける。
これが情熱のなせる業である。それは、前向きな態度で心を満たしたとき、このような力が与えられる。前向きな発想というものは、神の命そのものが、私たちの魂に働きかけることなのだ。

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