2019年御翼11月号その2

         

死のうなんて思って、神さまに悪かった―勝間としを
(イラストレーター&漫画家) 
『人生の転機 明けない夜はない』(いのちのことば社)より

【幸せ】 勝間と死を(聖句は佐藤順が加えたもの)
幸せは、いろんな形でいっぱいあって、
でもその幸せとボクの描いている幸せと同じとは限らない。
ボクの願う幸せは、ボクも幸せと思えて、
そばにいるキミもキミもキミも、
同じように幸せと思えるなら最高なんだけどな。

【ボクの鎧】
時に逆風もあって、でも僕の敵はその逆風ではなく、
また周りの何者でもなく、只々僕の中の臆する弱さなんだ。
でも、その弱さを認めることこそ、
最大の鎧となるってキミがボクの背後から
囁いたんだよね。そうあの時ね。
コリント第二12・9 すると主は、「わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ」と言われました。だから、キリストの力がわたしの内に宿るように、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう。

【スケッチ】
キミがボクの汚れた体を洗ってくれて、
きれいになったボクの体は新しいスケッチブックのようになったね。
そこにボクは今日の1日を描いていくんだね。
何を描くかはキミが手解きしてくれるから
ボクは楽しみでいっぱいだよね。
イザヤ1・18 たとえ、お前たちの罪が緋のようでも雪のように白くなることができる。たとえ、紅のようであっても羊の毛のようになることができる。
これらの詩は、猫の絵に書き添えられており、作者はイラストレーター・漫画家の勝間としをさんである。勝間さんは若い頃、アニメーターや少年マガジンの連載などで腕を磨き、やがてクリスチャンの妻と出会って信仰を持つ。そして、キリスト教出版社いのちのこと社のマンガ月刊誌『らみい』の人気作家となった。ところが2010年、五十九歳の時、脳梗塞に襲われ、利き手の左半身がマヒする。「もう仕事も何もできない。生きていてもしょうがない」という、絶望の中で開いた旧約聖書イザヤ書43・4には、「わたしの目には、あなたは高価で尊い」とあった。自分では、何もできない障害者だと思っても、神さまは高価で尊いと言ってくださる。「死のうなんて思って、神さまに悪かった…」そう思い、「病院の中でも何かできることがあるはずだ」と発想し、周囲を見回すと、泣いている人、しょんぼりうつむいている人、高校生なのに同じ病気になっている人もいた。一人ひとりに声を掛けて友達になり、みんなが勝間さんの病室に集まるようになる。「私がウツにならずにすんだのは、人に目を向けたからです。誰かを勇気づけようと踏み出したことで、実は自分が助けられていた。神さまってすごいです」と勝間さんは言う。
勝間さんは、反対の手で活動を再開、絵筆をマウスに代えてコンピューターグラフィックで再起し、仕事に復帰できた。趣味で描いていた猫の絵が脚光を浴びたのは、予想外の喜びだった「脳梗塞でたくさんのものを失いましたが、神さまは大事なものを残してくださり、気づかせてくださっている。まだまだこれから、神さまが何を用意してくださっているか、わくわくしています」と勝間さんは言う。
「あなたは高価で尊い」と言われる神に心を向けた時、勝間さんの魂には聖霊が降り、人に平安と勇気を与えるような絵も描けるようになった。それは規則を守るような生活をしたからではなく、謙遜な信仰をもったからである。


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