2020年御翼10月号その1

         

召命を受けた、と正当化したがる人たち

 あるキリスト教団体で、就職の面接のときに、申込者がよく引用するのがモーセが神から召命を受ける場面だという。「今、行け。わたしは、あなたをファラオのもとに遣わす。わたしの民、イスラエルの子らをエジプトから導き出せ」(出エジプ3・10)。ところが、何かの都合で仕事を辞めるときも、同じ御言葉を引用するという。「辞めて別の仕事に就け」と神から言われたというのである。これは自分の都合に神の言葉を当てはめているだけである。人は自分の願いを正当化するために、神の名を引用することがあるのだ。私たちの判断の基準は、イエス様の言葉であるから、与えられた発想が正しい「霊感」なのかどうかは、それがイエス様の言葉と矛盾しないかどうかを吟味することが必須である。

 N・V・ ピールは、その著書の中で、以下のように記している。
造船所をはじめとする各種の工場と同じように、自分の内なる‟考えを製造する工場”を、立派に管理する術を心得ている実業界のパイオニアがもう一人いる。ヘンリー・カイザーである。彼の五か条の成功の秘訣を挙げよう。

① 自分自身を知り、自分は一生かけて何をやるのか、ライフワークを決める。それから到達目標と計画を紙に書き出す。
② 信仰を通して未開発の強力な力、心や意識下に埋もれているエネルギーを開発する。
③ 人を愛し、人のために尽くす。
④ 自分の長所を伸ばす。
⑤ しっかり働く。一生の計画を決然と実行に移す。めざすものを全力で追い求める。
N・V・ ピール『生きるって素晴らしい』(ダイヤモンド社)より

 人が発想する考えは、自然のままでは自己中心的になりやすい。しかし、上記のリストには、「信仰を通して…力や埋もれているエネルギーを開発する」「人を愛し、人のために尽くす」など、神と人とを愛する項目が含まれている(マルコ12・30‐31「(30)『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』(31)第二の掟は、これである。『隣人を自分のように愛しなさい。』この二つにまさる掟はほかにない。」)。
霊感を与えられたとされる説教は手紙の内容は、このようにしてイエス様の言葉と矛盾しないか吟味することが大切なのである。
 ある青年が自信喪失症に陥っていた。その理由は、「①自分には父親ほどの力はない、②大学の成績がよかったのはまぐれだ、③自分には独


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