2020年御翼3月号その2

         

日の丸を揚げる教会

 2012年、父が亡くなってから、自分らしい伝道活動をすすめたかった。その一つの現れが、毎週日曜日には日の丸、もしくは旭日旗を挙げることである。これは父の生前は行わなかった。父の場合は、戦時中と戦後を分けたかったのかもしれない。しかし、日の丸は世の光であるイエス様の象徴になり得る、という思いから、毎週実行していたところ、それを承認、奨励してくださる方が現れた。兵学校75期の四郎さんである。四郎さんは、「旗を揚げろ」と言われる。これは軍艦が行動する際の国際的な常識であり、船がその国籍を表示するのは当然だということである。内村鑑三は、真理を重んじる武士道のある日本こそ、正しく福音を世界に宣べ伝える使命がある、と述べたが、ここは日本の独立教会である、という意味を込めて日の丸を揚げるのだ 
 池田悠『一次史料が明かす南京事件の真実―アメリカ宣教師史観の呪縛を解く』 (展転社)という本を産経新聞の広告で知った。中国には日本軍により南京で30万人が虐殺されたことを伝える記念館がある。しかし、当時南京の人口は20万人であり、30万人虐殺は不可能である。数百人の殺害は南京であったと、兵学校77期の高橋五六さんは言っておられた。五六さんの叔父が陸軍の将校として南京にいらして、そう証言されたという。この本によると、当時中国兵の中には、民間人に成りすますため、中国人を殺害して服を奪い、制服を脱ぎ捨てて民間人が住む「安全区」に紛れ込んでいたという。日本陸軍はそれを見つけ出しては処刑したが、民間人を殺さないことは徹底しようとしていたという。それが数百人の殺害、ということなのではないだろうか。
 万単位の殺害はなかったのに、嘘を広めたのは、安全区にいたアメリカ人宣教師だという。南京事件があった当時は、日米開戦前で、米国や米国民は「中立国」「中立的な人々」であった。ところが、中国をプロテスタント化するために、中国に軍事支援をしてほしかった宣教師らは、実際にはなかった日本軍の「蛮行」の記録を「証言」し、「南京大虐殺」を捏造したのだった。「アメリカの国内世論が不干渉中立に傾いていた時、在中国のプロテスタント宣教師たちは、全力でプロテスタントの希望の星(に見えた)蒋介石を支援し、中国側の宣伝工作と共にアメリカ世論を動かしたことを忘れてはならない」と著者は指摘する。
 この本をレビューした人がこう記している。「戦後の我々日本人は、宣教師というと、グローバルな人類愛に燃えて献身的な布教活動をしているヒューマニストといった『洗脳イメージ』が定着しているのではないか。それはとんでもない『偏見』。秀吉の時代から「侵略の先兵」でもあったわけだ。にもかかわらず、キリシタンを弾圧したのは『日本の負の歴史』扱いされている。そのあたりから、「宣教師善玉史観」が生まれてきているのではないか」と。


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