2020年御翼3月号その3

         

人に分け与えることのできる恵み(フレッド・スミス氏による)

1.受け入れる恵みBlessing of Acceptance
 キリストが人を受け入れられたように、他人を受け入れるのだ。教会こそ、傷ついている人々をいやす病院となるべきだ。「自分のことを理解し、受け入れてくれる兄弟姉妹がいるからこそ、教会に行きたい」こうあるべきだ。キリストを受け入れたならば、どんなに素晴らしい人となるかを見越してその人を受け入れる。フィリピ2・3~4「(3)…へりくだって、互いに相手を自分よりも優れた者と考え、(4)めいめい自分のことだけでなく、他人のことにも注意を払いなさい。」

2.信頼するという恵み Blessing of Confidence
人は、誰かに信頼されているという事実がなければ成功しない。ある会社の重役は、出世するようになった人生の転機は26歳の時だったという。ピューリタンの家庭で育ったその人は、幼い頃から家庭で、決して誉められることはなかった。人を誉めることは、人間の栄光を求める罪だと考えられていたからだ。26歳の時、教会学校(成人クラス)の担当者が肩に手をやり、「君をとても信頼しているんだ」と言った。あの人に信頼されているなら自分に確信を持とう、そう思った時から会社で昇進し始めたという。

3.人に紹介してあげるという恵み Blessing of Introductions
商売上の取引の時だけ、人を紹介する人がいるが、商売などというものは、人間関係に比べたらたいしたことはない。互いに知り合うことで人生が豊かになる出会いを提供する。

4.健全なユーモアという恵みBlessing of Healthy Humor
人生のプレッシャーに耐えるには、健全なユーモアが必要である。
昭和45年3月30日、日航機「よど号」がハイジャックされた時、日野原重明先生が乗客として人質となった。解放される前の晩に赤軍派が演説し、「皆さん、何か質問はないですか」と聞いてきた。乗客の一人が「ハイジャックって、何のことですか。どこの言葉ですか」と質問すると、赤軍派の誰も分からなくて当惑した。そこで日野原先生が「私が回答します」と言って前に出てマイクをもらい、「ハイジャックをやる人がハイジャックという言葉くらいよく知っていてほしいですね」と言うと、乗客全員がワーッと笑った。ハイジャックのスペリングはこうで、追いはぎみたいなことをするのがハイジャックで、飛行機であったらそれを乗っ取ること、地上であったら人や車を止めて追いはぎを働くことだとしゃべった。
この時先生は59歳だった。無事に解放されたことについて、「あの経験を通して、第二の人生を与えられたような感じを持っています」と語り、これから更に人の為に生きようと決意されたという。

5.問題点を指摘してあげるという恵み Blessing of Confrontation
相手を助けたいと思うなら、衝突してでもその人の問題点を指摘しなければならない。批評家と指導者の違いは、批評家は問題点を暴露するために探す、指導者は問題点を正すことが目的で問題を探す。相手を助けたいと思うなら、衝突してでもその人の問題点を指摘してあげよう。C・S・ルイスの愛の定義は、「愛とは相手の最善を望むこと」である。

 これを書いたフレッド・スミス氏は、キリスト教雑誌リーダーシップ・ジャーナルの編集員であり、モービル石油、ブルドーザーのキャタピラーなどの大企業の経営コンサルタントをしていた。当時(2000年)、95歳で毎日4回人工透析をしていた。それでも幸福だという。変えることのできないことは受け入れ、人生に残されている善いものを楽しむことを学んできたからだという。スミス氏の信仰が成長したのは、いつも逆境の時であった。順境の時に学んだことなど何一つない。誰もが落ち込む時はある。その時こそ、信仰が成長するチャンスなのだ。苦難の時には真剣に祈るからである。人生の目的は、キリストと似た姿になることであり、試練はそのために、どうしても必要なことなのだ。苦難に直面したら、神が罰しているのだなどと考えてはならない。訓練の時なのであり、次第に試練をも感謝できるようになる。
貧しい牧師家庭に生まれたスミス氏は、このような前向きな態度を母親から教わったという。そんな彼の目標は、彼の講演を聞いて、人々が神の力を信頼して生きるようになれることである。自分を通して人々に神の力をもたらすことができれば、最高の人生だと、スミス氏は言う。


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