2021年御翼9月号その4

       

「東京コーヒー」の経営者 デイビッド・ミラードさん 

 東京都東久留米市の古い商店街に、有機コーヒー豆を自家焙煎して、ネット販売をするカフェ「東京コーヒー」がある。経営するのは、宣教師の息子のミラード兄弟である。普通のコーヒー豆は、いろいろな化学物質をコーヒーの木に掛け、収穫後の豆にも化学物質をスプレーして輸出される。しかし有機コーヒー豆は、最初から最後まで化学物質を一切使わない。東京コーヒーでは完全に無農薬の、体にも環境にも良い豆を仕入れている。また、殆どのコーヒーが「コーヒーベルト」と呼ばれる貧しい国々で栽培されている。ミラードさんたちは、きちんと賃金が支払われていることを大切にし、コーヒーファームの人たちの手助けをしている。このコーヒー豆を自家焙煎し、本州なら翌日に届くようインターネットで販売したところ、全国から注文が入り、売り上げは伸びた。
ミラード兄弟は、東京コーヒーを立ち上げる前、ブランド物のアパレルを輸入し、EC(eコマース、インターネット販売)で販売していた。ところがビジネスが軌道に乗った頃、為替変動や、そのブランドが日本に進出したことなどの理由で、事業は衰退、借金と2千万円の在庫が残る。在庫をさばきながら、収入が不安定な状態が一年間続いた頃、デイビッドさんの兄が、コーヒー販売を発想、東京コーヒーを創立したのだった。
 宣教師の家庭に生まれながらも、キリスト教をぼんやりとしか信じられなかったデイビッドさんであるが、高校生のとき、心から信じるきっかけがあった。聖書を通して、イエス・キリストが自分のために十字架に掛かって死なれたのは、イエスが私たちを愛してくださっているからだと知った。それを読んだとき、これは中途半端に信じていてはならない、本当に信じて、イエス・キリストに従うか、それとも、これは全部嘘だから従わなくてよいとするのか、心の中で二択に迫られた。「これは絶対本当だから、信じなければだめだ」と自分で思って、高校生のときから信じるようにした。
「フランスの数学者、哲学者、神学者パスカルが言った言葉が、『もしキリスト教が間違っているなら、一切信じなくてもよい。でも、もし真実だったら、そして信じたならば、天国に行ける。永遠の命を得ることができる。たとえ信じたキリスト教が嘘だったとしても、失うものはない』というパスカルの掛け、という名言がある。だったら100%キリスト教を信じて、イエス・キリストが十字架に掛かって死んでくださったと信じた方が良い」と高校生のとき聞いて、デイビッドさんは人生を捧げてでも信じようと決めた。なぜならば、失うものは何もないからである、と言う。イエス様は十字架で死なれ、蘇(よみがえ)られて、今でも生きておられると、デイビッドさんは確信を持っている。
 東京コーヒーの店内とパッケージには、You are loved(あなたは愛されている)と書かれている。神に愛されているから、私たちの罪は赦されている、とお客さんに知ってもらいたいからである。苦難に耐え、店が祝福されるようになったデイビッドさんは、コーヒー事業に福音伝達の可能性を探っている

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