2022年御翼6月号その4

 

一つの事に焦点を合わせる ―― ケン・シゲマツ牧師

 この世の必要にふれ、祈りによって応答すると、予想もしなかったようなビジョンが与えられることがあります。それは劇的なものではないかもしれませんが、必要を見て祈るとき、神は私たちにもビジョンをお与えになるでしょう。いったん神の導きを感じたら、その新しいビジョンに行動をもって応答することです。それは献金であったり、募金活動を助けることかもしれません。子どものスポンサーになったり、弱い立場にいる人と友達になることなど、ひとりの人を助けることかもしれません。これらの行動は小さいことのように見えるかもしれませんが、当事者の人生には大きな違いをもたらします。また、小さな行為は比較的私たちの生活の一部になりやすいものです。
この広い世界にはあまりにも多くのニーズがあるため、私たちはしばしば圧倒されてしまい、結局何もしないで終わってしまいます。どのようにしたら、現実的に正義を私たちの生活のルールに織り込むことができるでしょうか。マイク・ヤンコスキーは、私が知っている人の中でもこの世をより良くするために徹底した生き方をしている人です。かつて彼はホームレスの人々の苦悩を理解するために、五ヶ月間、自らホームレスとして暮らした経験もあります。「正義の働きのために私にできる、何かよいアドバイスはありますか」と、マイクに質問をしたことがあります。彼の答えはこうでした。「何か一つ、焦点を合わせるものを選んでください。私とダナエ(彼の妻)にとってそれは、発展途上国にきれいな水を供給することです。」
 一つの事に焦点を合わせる。賢明なアドバイスだと思います。私にとってそれは、貧困にあえぐ途上国の子どもたちのために活動することです。具体的には、子どものスポンサーになること、募金活動の企画と運営、ワールド・ビジョン・カナダの理事として奉仕もしています。あなたも世の中の必要に触発されて祈るとき、あなたにとっての「一つの事」が明らかになるかもしれません。人身売買、エイズ問題、貧しい国々への支援、教育、環境問題など、さまざまな課題があります。あなたの「一つの事」を発見したとき、生活のルールの一部として具体的にできる事を考えてみてください。
 私たちが奉仕をするとき、喜びを経験したり、神を近くに感じる一方、人々のニーズの大きさを考えたとき、私たちの努力は大海の一滴にすぎないと感じる時があると思います。しかし、聖書には「私の愛する兄弟たち。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは、自分たちの労苦が主にあって無駄でないことを知っているのですから。」(Iコリント一五・五八)と書いてあります。現在キリストと共に、そしてキリストのために行われたことは何一つ、神の未来において無駄になることはありません。 

ケン・シゲマツ『賢者の生活リズム』(いのちのことば社)より


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