2022年御翼9月号その3

 

神風特攻隊/「これからの日本宣教」―― 後藤牧人牧師

 統一教会は、韓国はアダムの国、日本はイブの国でサタンの国だから、日本は謝罪と賠償を行うべきだとする。このようなことは聖書に記述が無く、統一教会はキリスト教ではない。ここまでデタラメな教理ではなくとも、戦後の日本のキリスト教会で誤った歴史観から過剰に日本を悪く考えてきたことは事実である。敗戦国日本は、まるで日本だけが悪かったかのように扱われ、教育されてきた。それが、日本人の謙譲の美徳、更にクリスチャンがとるべき悔い改めの態度と結びつき、今も過去の過ちを謝罪しよう、という風潮が教会内にある。しかし、過去の他人のことを「あれは悪かった」と今の人が言うことで、過去の人が義認されるなどということは神学的にあり得ない。

 神風特攻隊 パネル・ディスカッション「これからの日本宣教」より  後藤牧人牧師 2022年8月15日
 神風特攻隊とは何だったのか。これはキリスト教会が論じることを避け、日本の知識階級の言論が検討を避けている出来事である。そうして事実上は特攻隊士を戦争犯罪人、恥ずべき、汚点であるかのように扱っている。またはよくて無視し、なかったことのように扱っている。これをやっている限りは日本の教会には未来はない。かれらは愛国者たちだった。19歳から22、23歳までのまだ恋人も持たない若者たちは「お母さん」と叫んで命を捨てて行った。かれらは日本がいまアメリカに滅ぼされようとしていると信じた。滅ぼされないとしても負ければアメリカ国内の有色人種のような扱いを受けるようになるだろうと信じた。これを防ぐには戦うよりない、戦いは絶望的である。だが祖国のため、郷土のために身を差し出したのである。自殺は弱さである。だが献身は生きている人間として最高の行動である。
 小生はこのことに関して何十年もどっち付かずだった。しかし今はじめてそのように発言できる。この件に関して日本のキリスト教会はどのような態度を取ってきたか。特攻隊を戦争犯罪人として見て来た。あるいはダマされて自殺機に乗せられた被害者としてきた。日本軍が嫌いな人は、それもいいし、東条の顔を見て吐き気がするのならそれでもいい。また日本の政治が卑劣だというならそれも個々人の判断でいい。ただ、世界史上で最大の出来事だった人種解放、植民地解放、アジヤ・アフリカ諸国の独立という大事業のキッカケとして神が日本を使ってくださった、そうしてその大事業のために日本が用いられた。それだけは動かせないのである。そうして特攻隊だけでなく、戦没者の一人ひとりがそのために死んだ、そうやって世界の歴史は確かにあるべき姿にむかって行った、ということだけは認識せねばならない。おおくの日本人は、死をもって米軍に抵抗した。米国は日本を見直した。米国人は単純な正義感で戦ったが、その理論が通用しない群がいた。しかもアジヤの数十億人の代表者だったのである。第二次大戦の日本側の戦傷死者、その代表でもある特攻隊士の死が世界史上でも最大ともいえる人種的、文化的価値観の変転を招来したのであり、その意義は測り知れない。
 第二次大戦の実情については様々な要素があり、専門家でもない者が断定的なことを言うなど、もってのほかである。だが、同じ理由でポツダム宣言、また東京裁判の線を絶対視し、ここからすべてを論じるのも良くない。またその線に沿って信者に日本の歴史と社会について「深い自己卑下」に徹するよう要求し、そこから日本宣教は始まる・‥みたいなことを言うのも飛んでもないことである。
 キリスト教会はその歴史上多くの過ちを犯してきた。それらはすべて主の赦しの中にある。アメリカへの恨み節からは何も出て来ない。ウラミ節を本当に捨てたとき、アケスケに日米戦争の各フェーズの検討が実行できるのである。ある意味でこれが出来るのはキリスト教会だけである。それをやったとき、クリスチャンは初めて日本社会の尊敬を得ることが出来るのである。


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