望みの錨

 新人ゴスペル・シンガーたちは、人に聞いてもらいたいために、ナイトクラブやレストランで歌いたいという誘惑にかられる。このような誘惑に負けたなら悪魔が入り込んで来ることになるのだ。
 ゴスペル音楽を歌うことには一つの原則があって、それは私にとっては、酒を飲んだり、ダンスをしている人たちに宗教的な歌を歌うことは宗教を冒涜するものであるということだ。
 私は自分に、「お前は今でも神様の王国を築くために歌っているか」と、問うことにしている。
 《ゴスペル・ツイスト》と呼ばれる歌を歌いながら旅をしているグループまであると人から聞いたことがあるが、私はこんな無茶苦茶なものを議論する気持ちにはなれない。
       『マヘリア・ジャクソン自伝―ゴスペルの女王』より
ゴスペル=アメリカ発祥のプロテスタント系の宗教音楽
ツイスト=1950年代末にアメリカで、1960年代初頭に日本で流行したダンス

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