2010年10月10日

 

伝道と職業

 内村鑑三 昭和2年3月10日『聖書之研究』320号より抜粋 

  
 所謂(いわゆる)伝道事業のみが伝道でない。神を信じて為(な)す凡(すべ)ての事業が伝道である。
 神を信じて為す農業が伝道である、神の信じて為す工業が伝道である、神を信じて為す商業が伝道である。然(しか)り神を信じて為せば政治も亦(また)罪悪ならずして或る種の伝道である。
 伝道を行はんと欲して与へられし職業を去りて専門伝道師と成る必要は少しもない。パウロは曰(い)うた「兄弟よ、汝等(なんじら)各自その召されし時に在りし所の分に止まつて神と偕(とも)に居るべし」と(コリント前書七章二四節)。職業は何でも可(よ)い、神と偕に居りて人は何人も神の光を放ちて伝道師ならざるを得ない。
 そして最も善き伝道は此世の生計(なりはい)に従事して行はれる。アクラとプリスキラとは終生天幕製造業を離れなかつた、然れどもコリントに、エペソに、ロマに、到る所に善き伝道を為した。

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