2010年11月7日

 

伝道成功の秘訣

   1923(大正12)年1月『聖書之研究』270号 内村鑑三全集27より

 伝道成功の秘訣とて別にない。神の御言(みことば)なる聖書を説くことである。さうすれば伝道の功は必ず挙る。さうしないで幾ら大挙伝道、倍加運動、社会事業と焦心(あせ)るとも伝道の効果を見ることは出来ない。 
 神が預言者イザヤを以て曰(い)ひ給うた通りである。“我が口より出る言は空しくは我に還らず。我が喜ぶ所を成し、我が命じ遺(おく)りし事を果さん”と(以賽亜[イザヤ]書55章11節)。御言(みことば)其物が大なる力である。人の雄弁又は技工を加へずして霊魂を活かし之を永遠の道へと導く。
 汝(なんじ)教会を起し之を盛にせんと欲する乎(か)?聖書を解して之を説くべし。聖書は教会を起し之を盛にするであらう。英国人の諺(ことわざ)に曰(いわ)く“Let us build railroads and railroads will build the country”(我等をして鉄道を作らしめよ、然らば鉄道は国を作るであらう)と。其如く“我等をして聖書を説かしめよ、然らば聖書は教会を興すであらう”。
 先づ深く聖書を究め、然る後に生命を賭(と)して之を説けば個人も社会も国家も人類も救はるゝは必然である。只(ただ)憾(うら)む唯此事のみ行はれざる事を。

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