2011年9月4日

 「日本語は、特に語尾が大切です。語尾を上げたり下げたりすることで、聞き手の受ける印象は大きく違います。ですから、最後の最後まで相手の気持ちになって話すようにしています」と語るのは、クリスチャン・ナレーターの中村啓子さんである。
 NTTの時報音声サービスを録音するなどして、日本一聞かれている「声」となった中村さんは、いつでも、「自分にしてもらいたいと望むとおり、人にもそのようにしなさい」(ルカ6章31節)という思いで声を吹き込む。その思いやりの気持ちが表れているからか、寂しい思いをしている人たちが、NTTの時報サービスを聴いたりもしているという。
 中村さんがキリストと出会うのは、39歳のときにがんで入院したことがきっかけである。仕事一筋で生きてきた中村さんであったが、入院中、仕事仲間は誰一人見舞いに来なかった。自分は愛することも愛されることも知らないと気付いた中村さんは、教会に通い始める。そして、無償の愛や十字架の贖いの意味を知り、悔い改めてクリスチャンとなったのだ。
 3月11日の震災後は、携帯に掛けた殆どの人たちは、「おかけになった地域は、電話がかかりにくくなっています」という、緊急時用に備えて吹き込んであった中村さんの声を聞くこととなる。「電話がつながらず、心配と絶望の中にいるかたがこれ以上絶望へ向かわないよう最後の語尾まで、声の使い方を考え、祈りをもって事前に吹き込みました」と中村さんは言う。

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