2012年9月9日 望みの錨

平和の使徒の最後

 新渡戸稲造(1862〜1933)は平和を愛するフレンド派の敬虔なクリスチャンであった。晩年の1920〜26年国際連盟事務局次長をして平和友好、国際相互理解の促進に貢献した。1933年(昭和8)カナダで開かれた太平洋会議に出席し病気で客死した。
 重態になり絶望視された時、看護していた人々の計らいで祈りのために日本人の牧師が招かれた。牧師は枕べにやってきて「先生、ご健康のために祈りましょうか、それとも天上の祝福について祈りましょうか」と尋ねると、彼は「いや世界の平和のために祈ってください」と答えた。牧師の祈りを大変喜び、その最中に幾度もうなずき祈り心を共にした。
 二、三日たって彼は再び牧師を招き、もう一度平和のために祈ってくれるように頼んだ。最後まで世界平和を念じ祈っていたのである。 
〈『キリスト教逸話例話集』(神戸キリスト教書店)より〉
(マタイ5:9 「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」)

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