2013年1月20日 望みの錨

 「この出来事を、ただ『失った』だけで終わらせることは悔しすぎます。何かこの中で見つけ出したい、生み出したいのです」と、野田 沢(のだ たく)牧師は申し出た。
 学生時代、阪神淡路大震災で被災した経験のある野田師は、東日本大震災直後、被災者支援コーディネーターとして仙台市に派遣される。しかし、現場である笹屋敷と呼ばれる地域は「よそもの」を受け入れ難く、ボランティアに対する警戒心も強い。そこで、笹屋敷の人々に伝えたのが上述の言葉であった。
 ルカ一章十四節には、「その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ」とある。祭司ザカリアに約束された男の子は、洗礼者ヨハネとなり、キリスト誕生の前に、人々の心を神に向けさせる働きをした。それは、人生に喜びと楽しみをもたらすものである。
 支援活動を「教育、若者の未来のために活きるものにしたい。それは、被災地の再生だけでなく、私たちの再生にもつながっていくからです」という言葉に、笹屋敷の人も動かされ、野田師の支援活動を受け入れた。そして、キリスト精神に基づいた支援活動は、やがては多くの人々をキリストへの導き、人生に喜びと楽しみをもたらすことになるのだ。

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