2012年の10月、101歳の誕生日を迎えられた日野原重明先生は、次の一文を書かれた。
杖をつくとか 車椅子に乗っているとか
腰を曲げてよぼよぼ歩いているとか
といった見かけの姿から
老人を弱者だと差別しない社会が実現すれば、
それは素晴らしいことです。
そのような社会を皆でつくりたい。
年をとるということは、体が朽ちていくことであるが、年をとることで気は充実していく。それは、魂が豊かになる感覚なのだという。
牧師の子どもに生まれた日野原先生は、聖書の言葉で強められてきた。その聖書に「目をさましていなさい」(マタイ24:42)という、有名な言葉がある。それを現代的な言葉にすると、アンテナを張り、レセプター(感受性)の力を養いなさい、ということである。その力が待つ心であり、耐えて待つことには、希望が潜んでいるのだ。
日野原重明『「与」命』(小学館)より