2014年5月25日 望みの錨

佐藤陽二牧師の神学

  

小倉成美著『出港用意』(アンカークロス出版)より抜粋

 彼の神学は教会の中、或は教団の枠の中で静かに通用する形のものではなく、一般社会の中で通用する生き生きとした実践神学だと私は感じている。…科学まで素直に飲み込み独自の視野の広い神学を創り上げ、落着いて力強く明るい人格を形成している。

 彼の弟子の書いた『佐藤陽二の神学』と云う論文が有る。その中で冒頭に彼の人格を形成し、神学の基礎になっているのは江田島の兵学校精神だと明確に書いている。その基礎にキリストの福音が働き教養紳士として仕上っているとしている。彼の教会堂のシンボルは錨の十字架(アンカークロス)であることは既に述べたが、彼は何処の誰に対しても兵学校出身であることを誇りにして対応する。  

論文の中には彼の語録が有り我々門外漢でもハッとするものが有る。その冒頭に五省(ごせい)を紹介しているが、論文を書いた弟子の方は、これは牧師の心構えとしての日常の反省としても立派に通用するものだとしている。
彼の語録すべてを紹介することは出来ないが彼を理解するのに役立ちそうな数語を列記してみる。
・宗教家と芸術家は貧しくないと本気に為らない。
・宣教はまともな人が来るかどうかが勝負だ。
・信仰は縦文字で身につけよ。
・説教者は説教の中で笑ってはならない。
・遠慮しがちな説教は通じない。
・智性による信仰が大切。
・弱い者が集っても強くならない。
・恵みと信仰ばかり語ると倫理が無くなる。 等である。

五省(ごせい)とは、旧大日本帝国海軍の士官学校である海軍兵学校において用いられた五つの訓戒。
一、至誠(しせい)に悖(もと)るなかりしか  
        真心に反する点はなかったか
一、言行に恥(は)づるなかりしか  言行不一致な点はなかったか
一、気力に缺(か)くるなかりしか  精神力は十分であったか
一、努力に憾(うら)みなかりしか  十分に努力したか
一、不精(ぶしょう)に亘(わた)るなかりしか   
        最後まで十分に取り組んだか

バックナンバーはこちら HOME