2014年8月17日 望みの錨

『AYUMI』前期四号 1933(昭和8)年11月1頁より
地面に落ちた草の種が
そこから芽を出し生え出るやうに
俺も自分が置かれた場所から
芽を出して生え出る
そこがあまりいゝ地面でなかったとしたところで
それが何としやう
草の種は決してそこから動かない
そして咲かす丈の花を咲かせやうとする
それが、たとへ小さな花だったとしても
その努力は可燐(かれん)であり
その運命を知る姿はしほらしい。

恩寵 『宮芳平(みやよしへい)自伝』より
こうすればよくなるということは、神様が知っている
けれどもわたしは知らない
盲蛇(めくらへび)ものに怯(おびえ)ず、ということがある
わたしは蛇ではない。けれども盲(めくら)だ 
事毎(ことごと)に盲だ 絵を描くことも盲だ
何をどう描いたらいいか知らない
神様の恩寵があれば わたしの突く杖の先が、
よい方向へ向く 正しい方向へ向く それだけが頼りなのだ
そしてわたしはとぼとぼと行く。

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