2015年3月15日 望みの錨

金の価値 内村鑑三 1927年12月「聖書之研究」

 何も、巨万の富を寄付することだけが、天に宝を積むことではない。富といい、財産といいて、慈善はこれを富者にかぎることと思うてはならない。
 百万円も富であれば一円も富である。そして一円の金もこれを自分のために用いれば、それで効力を失い、他人のために用いれば、その効力を永遠に保存する。これは神の定めし法則であって、富の大小によって変わらない。
 もちろん慈善は、考えずしてやたらにすべきことでない。されども自己のために計るがごとくに、他人のために計り、よく彼等のために用いて、われらは永遠の満足をこれによって得ることができる。
 慈善を義務と見るがまちがいである。義務にあらず。最大の快楽、最上の知恵である。 

 「商売成功の秘訣」の概要(内村鑑三全集16より)
 世の中では、商売を戦争のように考える人がいるが、戦争は相手を倒して成功するものであって、商売は相手にも自分にも利益があってこそ成功するものなのだ。
 事業で成功しようなどと思わず、相手の利益も考えた商売をしていれば、成功するものは成功するし、失敗するものならば立派に失敗する。
 しかし、成功が必ずしも名誉ではない。卑しい手段をもっての成功は恥辱である。一方、失敗は必ずしも恥ではない。潔い手段をとっての失敗は名誉なのだ。
 誰に対しても敵意を持たず、善意をもって商売に従事し、それでも成功しないならば成功など求めない。しかし、それで成功しないはずはないと信じる。

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