マザー・テレサの偉大さの秘密 ―― 笑顔

 マザー・テレサは、「最も貧しい人に仕えなさい」という神の召し出しの声を聞き、一九四八年、一人でカルカッタに移った。そこで貧しさのあまり道端で死に行く人たちを収容し、彼らが人間として尊厳をもって息を引き取れる施設「死を待つ人の家」をつくる。この宣教活動は80カ国で400軒ほどの施設を開くまで広がった。「インドでは食物の飢えによって人が死んでいくが、米国では精神的に飢えて人が死んでいく。そして、精神的な飢えに対処する方が、食べ物への飢えを癒やすよりも難しい」とマザーは語る。食べ物に飢えている人にはパンを与えれば問題は解決する。そして、彼らは愛に満たされ平安の内に天に召される。しかし、精神的に飢えている人は、孤独感から何事にも心を閉ざしてしまう。そのような人々に愛をもたらすのは至難の業だという。そう語るマザー・テレサの成功の秘訣は、笑顔であった。 
 マザーの宣教活動に加わるシスターの条件の一つは、喜びに満たされている人であるということだという。「施設で笑顔でいられないシスターは、皆にとって喜びの源となれず、これは自分の使命ではないと感じ家に帰ってしまいます。微笑み、喜びを表現する者こそ、偉大な業を成し遂げます。笑顔は最良の薬です。彼らが悲しみ、苦しみ、痛みを感じている時、笑顔を向けると、幸せを感じてくれます。愛はこの人たちに新しい命をもたらすのです」とマザーは語った。その笑顔は、生けるキリスト、復活の主が私たちの中におられる、聖霊の働きによるものなのだ。(一九八九年、シューラー博士とのインタビューから)
 キリストは、十字架につけられる僅か数時間前、「しかし、今、わたしはみもとに参ります。世にいる間に、これらのことを語るのは、わたしの喜びが彼ら(弟子たち)の内に満ちあふれるようになるためです」(ヨハネ17・13)と言われた。昔から聖書には、「心の楽しみは良い薬である、たましいの憂いは骨を枯らす」(箴言17・22)とある。前向きな笑顔でいれば、人の命を回復させられるような性格が形成されていく。笑顔を人々に向けることが、マザーの偉大さの秘訣だったのだ。

マザー・テレサの名言・格言
💛この世界は食べ物に対する飢餓よりも、愛や感謝に対する飢餓の方が大きいのです。
💛平和は微笑みから始まります。
💛神様は私たちに成功してほしいなんて思っていません。ただ、挑戦することを望んでいるだけよ。
💛私たちは、大きいことはできません。小さなことを大きな愛をもって行うだけです。
💛人間のほほえみ、人間のふれあいを忘れた人がいます。これはとても大きな貧困です。
💛あなたに出会った人がみな、最高の気分になれるように、親切と慈しみを込めて人に接しなさい。
💛あなたの愛が表情や眼差し、微笑み、言葉にあらわれるようにするのです。
💛一切れのパンではなく、多くの人は愛に、小さなほほえみに飢えているのです。
💛喜びとは、魂を捕まえられる愛の網なのです。
💛私たちは、成功するためにここにいるのではありません。誠実であるためにここにいるのです。
💛心が愉しむことは、どんな美容師にもまさる効果があります。
💛世界平和のためにできることですか? 家に帰って家族を愛してあげてください。
💛もし貧しい人々が飢え死にするとしたら、それは神がその人たちを愛していないからではなく、あなたが、そして私が与えなかったからです。
💛日本人はインドのことよりも、日本のなかで貧しい人々への配慮を優先して考えるべきです。愛はまず手近なところから始まります。
💛今、この瞬間幸せでいましょう。それで十分です。その瞬間、瞬間が、私たちの求めているものすべてであって、他には何もいらないのです。
💛暗いと不平を言うよりも、あなたが進んで明かりをつけなさい。
💛説教してきかせても、それは人とふれあう場にはなりません。ほうきをもってだれかの家をきれいにしてあげてごらんなさい、そのほうがもっと雄弁なのですから。
💛笑ってあげなさい。笑いたくなくても笑うのよ。笑顔が人間に必要なの。
💛誰かに微笑みかけること、それは愛の表現であり、その人へのすばらしい贈り物となるのです。

御翼2023年4月号その1掲載