日めくりと掛けてなんと解く。牧師と解く。心は ---------

土曜日は青くなって説教の準備をし、

日曜日には赤くなって説教をする。

 これは、藤井 武先生のユーモアですが、そうならないために、聖書の正典的解釈と説教のフォームを身に着けましょう!

 「キリスト教の教理は分かっていた。でも理想論にしか聞こえなかった」と、ミッション系の学校出身の人が言っておられました。礼拝や授業で、いくら聖書の解説を聞いても、その教えをどう生活に応用すべきか分からなかったのです。ところが、信仰を実践したクリスチャンの実話を礼拝で聞いたとき、自分もこれなら信仰を持って行ける、と受洗の決心をされたのでした。

 聖書は、信仰と生活の規範(カノン―正典)ですから、キリストの言葉を中心に解釈し、その教えを生活で実践しなければ意味がありません(ヨハネ5:39「聖書はわたしについて証しをするものだ」)。それを伝えるためには、キリストへの信仰によって良い実を結んだ人たちの実話を必ずメッセージに含めなければならないのです。一方、実話だけですと、 次第に人間中心の話になり、聖書に書いていないことまで主張するようになりがちです。聖書からの使信を押さえた上で、それを証しする実話を入れるのが、本校で学ぶ説教の基本形です。

・聖書を信仰の規範として読むので、歴史書や科学書として扱うことはなくなります。

・聖書を生活の規範として読むので、信仰の応用の仕方が分かり、 実生活が楽しくなります。

・キリストの言葉を中心に読むので、旧約聖書の戦争の記述をどう解釈すべきかが分かります。

・メッセージの準備が毎回楽しみになります。

 聖書は、神の支配のもとにある人生の意味を明らかにするための、神の働きの記録であり、人間が神と出会うための媒体である。これが聖書と他の古典とを区別する特質となっている。

 従って聖書は、正典と呼ばれる。正典とは、ギリシャ語のカノンの訳であり、ヘブル語のカーネー(葦)からきている。真っ直ぐな葦は、物の長さをはかる棒として用いられた。そこから、カノンという言葉は、物差しを意味するようになった。

 聖書が正典であるということは、聖書が信仰と生活の規範であることを意味する。神の前における私たち本来の在り方(アイデンティティー)と生活の仕方(ライフスタイル)という二つの問いに答えるため、聖書は正典として編集されている。

 信仰と生活の規範である聖書は、キリストの言葉を中心に読まなければならない。民数記のずい所に「神は言われた。女、子どもを皆殺しにせよ」と書かれているがゆえに、聖戦を肯定することなど、旧約聖書をキリスト中心に読まないために起こる悲劇である。

 佐藤陽二師は、旧約聖書の「聖戦」思想を説明して次のように言う。「主がモーセに命じられたように…みな殺した」(民数記31:5)とあるのは、どのように読み、また解釈したらよいのであろうか。結論から言うならば、モーセあるいは民数記の記者、または編集者が、神の、み心であると考えた、ということである。

 同じ旧約聖書でも、エゼキエル書18:23は、「主なる神は言われる、わたしは悪人の死を好むであろうか。むしろ彼がそのおこないを離れて生きることを好んでいるではないか」と言って、聖戦思想を否定している。

 イエス・キリストは、「剣をとる者はみな、剣で滅びる」(マタイ26:52)と教えられた。また「敵を愛し、憎む者に親切にせよ」(ルカ6:27)とある。さらに、人間の守るべき絶対的律法は、「心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ」ということと、「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」の二つである。(ルカ10:27、申命記6:5)。これは、旧約聖書と新約聖書とを通して、変わることない神のみ心であった。次に使徒パウロは、「自分で復讐しないで、むしろ、神の怒りに任せなさい」(ローマ12:19)と語っている。このようにして、旧約聖書の「ことごとく滅ぼす」という言葉は、イスラエルが他の民族に対して、そうすることが、「神の、み心である」と旧約聖書の記者たちが、誤って受けとめたものであったことがわかるのである。

 このことは、旧約聖書が誤りであるという意味ではない。それは弱点の多い人間を用いて、神は救済の歴史を完成へ向かって進めておられるということである(佐藤陽二『民数記』p.153)。このことが正しく受けとめられずに、後の教会もたとえば十字軍など繰出したのは他に理由があったとしても、やはり聖戦の思想があったからであって、いつもキリスト中心に見るべきである。

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